インタビュー シューレ大学で探究するということ

存在と存在をコミュニケーションする の巻

第1回 自分の存在を確かめたい

07.11.02up
初回は、高橋君がシューレ大学でどんなことをやっているのか。
音楽をなぜやるのかを聞きました。

いろいろやっている

――今、シューレ大学でどんなことをやっていますか?

活動としてやっているのは、音楽に、演劇。それと写真ですか。あと絵を描いたりしていますね。出ている講座では、学歴社会・不登校*1とオルタナティブエデュケーション*2。それと、フリースクールスタッフ養成コース*3。あとは不登校研究会*4というのにも参加していまして、そちらの方で、研究をしつつ、参加をしつつ、作業をしつつ、というようなことをやっています。

――音楽はどのようにやっているんですか?

僕は大学に入る前に、もともと、かじった程度なんですが、バンドをやっていまして。で、大学に入ってからも、音楽をする人がいる、音楽をする場所がある、ということで、ちょっとうれしくて。今は、報告会*5や忘年会といった場で、発表したりとかしているんですね*6。僕はヴォーカルをやっているんですが。

――絵はどんな風に描いていますか?

絵は、もともとはその、一人でずっと描いていたんです。シューレ大学に入ってからも部屋にこもって一人で描いています*7

高橋君の描いた絵「赤江」
高橋君の作品

自分自身を見てもらうことで
           自分の存在を確認する

――高橋君は、音楽や絵、写真、演劇など、なぜそのことをやるんですか?

まず、自分自身に対して、自分が何者であるのか、っていうのを知るための手段として、はじめたような気がします。

――音楽をやる上で、自分が何者であるかということは、どのように関係しますか?

自分が何者であるか*8、というのは、自分自身一人立っているだけでは確認できないと思うんですね。世界の中で、自分がいる場所だとか、位置だとかいうものを、自分から周りを見ながら、逆に周りから自分が見られながら、そうやって自分の姿っていうものを、その、つくっていくことだと思うんです。

それが例えば今の社会においては、単純に、所属している学校だったり、行っている会社だったり、参加しているクラブ活動だったりすると思うんですけども、僕はそういった社会的なね、肩書きというものを、失っているというような感覚がずっとあるんですよ。だからこそ、そういった状態だと、やっぱり自分が一体世界のどの地点にいるんだろうかっていうのがわからない、確認できないんですね。僕はどこにいるんだろう、っていうことを。人から聞いても、見た人は、僕はどこにも所属していないからわからない。じゃあどうすればいいんだろう。

そうなるともう、本当に自分の中身をさらけ出していくしかない。歌っていうのは、簡単に言っちゃうと、自分の声で、自分の気持ちで、歌うわけじゃないですか。自分自身を出すことで、自分自身を相手に見てもらって、相手に自分が、世界の中でここにいるということを、認めてもらうというのも変だけれども、確認する。同時に、そのそういう僕のやっていることを見たり聞いたりしている人たちを見て、僕も、あ、ここにいるんだ、この人たちと同じ地面の上に立っているんだ、っていうことを確認する。で、それが結局その自分自身の存在を確かめることになると僕は思っているんですね。だから表現っていうのはそういうものだと。僕の中では、うん、かなり出発点に近い部分になっているのだなあ、と思います。はい。

歌う高橋君 報告会にて
歌う高橋君 報告会にて

最も高い純度で自分が伝えられるものはなにか、確かめたい

――表現をどのようにやっていきたいですか?

「自分の存在を確かめたい」、というようなことが最初にあるんですよ。そのための手段として表現というものがある。最も高い純度で自分が伝えられるものはなんなのか、というのを確かめたい。僕の場合は、手を使ったり体を動かしたりしないと、感覚がつかみづらいところがあって。やってかないとつかめないっていうのがあってね。

自分にとっての一番、自分を確かめられる、自分を確かめてもらえるような形っていうのはなんなのかっていうのを試行錯誤しながら、歌ったり描いたり踊ったりしながら、自分の中で何が一番いいのか。もしかしたらその中から、全く新しいような形が生まれてくるかもしれないし。そういうところも僕は望んではいて。もっともっと見つめていきたい。それぞれやっていることの純度を上げていきたいなあ、と、すごく思っていますね。

<つづきます>

学歴社会・不登校*1学歴社会の成立ちや、不登校について解き明かそうとする講座。不登校の劣等感からどのように解放されたのかというテーマで相互インタビューをしたり、いじめについて学んだり、現在は「学歴社会は多くの人が批判するのになぜ変わらないのか」ということを様々な視点から検討し、ディスカッションしている。
オルタナティブエデュケーション*2その名の通りオルタナティブな教育のあり方を学ぶ講座。日本だとどうしても文科省認可の学校のみを教育の形だと考えてしまうが、世界中にオルタナティブスクールやデモクラティックスクールがあり、教育の概念は打ち壊されてばかりである。
フリースクールスタッフ養成コース*3通年のフリースクールスタッフ養成コース。二年間の期間で、最初の一年は座学でフリースクールや不登校について学び、次の一年は実際にフリースクールにインターンに行く。
不登校研究会*4不登校を当事者の視点から研究する会。不登校の歴史研究、不登校の医療調査などを行い、毎年、東アジアの各国の教育やフリースクールをフィールドワークし、報告書を製作している。高橋君も、中国、韓国と立て続けに訪問し、新鮮な衝撃を味わっている。
報告会*5シューレ大学には単位もないし、テストもない。かといって、締切りがないと探求を深めていくことは難しい。ということで、年度末に、一年間それぞれが探求してきたことを発表し、反応をもらう機会をつくっている。他者からの評価ではなく、発表する人自身が、次の年により先に進めるようになることを目的としている。
発表したりとかしているんですね*62006年秋に音楽プロジェクトが本格再始動し、高橋君もそこに参加しており、音楽がやりたいメンバーが集まり、日々音楽をやっている。今年7月末の内部イベントでその復活した姿をアピールした。
描いています*7最近は、名刺のデザインや、今年の12月に行なわれる公開イベントのデザインなどをやりまくっている。
自分が何者であるか*8ちょっと気恥ずかしい言葉ではあるが、シューレ大学では、こういった言葉や意見が、いろんな人の口から、ぽんぽんと飛び出してくる。そんな話を存分にしたいあなた! シューレ大学おすすめです。